検査済証がない建築物を増築したいです。どうやって進めればいいか教えてください、、、
こんな疑問にこたえます。
こんにちは。せのしゅん(@senosyun_archi)です。
ディベロッパーで働く一級建築士です。
検査済証がない物件の改修を、数十件近く担当したことがあります。
こんなぼくが解説をしていきます。
では、3分で読めるのでサクッと見ていきましょう。
検査済証がない建築物を増築する方法
3ステップで解説します。
ステップ1:建築物の分類
まずは「確認済証の有無」と「検査済証の有無」で、物件の分類を確認しましょう。
「適法かどうか判断できない建築物」であれば、ステップ2にうつります。
そもそも、建築基準法にもとづく検査の書類は、「確認済証」「検査済証」があります。
- 確認済証:工事着手前に受領する、建築予定の設計図を確認した証
- 検査済証:工事完了後に受領する、設計図と現地が整合している証
どちらの書類がないのかを、はっきりさせて次のステップに進みましょう。
ステップ2:国交省のガイドラインに基づいて調査
ステップ2では、国交省のガイドラインに基づいた調査を行います。
が、ちょっとガイドラインがわかりにくいので、ここではもう少しかみ砕いて説明します。
調査の流れとしては、以下の通り
- フェーズ1:依頼者が図面を集める、もし図面がなければ復元する
- フェーズ2:調査者が図上調査・現地調査をおこなう
- フェーズ3:調査者が報告書を作成する
なお「依頼者」「調査者」については、
- 依頼者:ほとんどの場合で、施主のこと
- 調査者:ほとんどの場合で、設計者のこと
という形で考えてもらえばOKです。
かんたんに言うと、
「図面を見て、設計者が図面と現地の調査をする。終わったら報告書をつくる。」
ということですね。
「国交省のガイドライン」と言うと大げさですが、やっていることはシンプルです。
一応、ガイドラインのフロー図も貼っておきます。
https://www.mlit.go.jp/common/001046527.pdf
ステップ3:報告書をつかって確認申請をする
ステップ3では、ステップ2で作成した報告書をつかって確認申請をする段階です。
そもそもステップ2で作成した報告書は、それ自体では法的な担保にはなりません。
で、増築の確認済証をもらってはじめて、「今の建物は適法(または既存不適格)ですよ」というお墨付きになります。
※今の建物に対する検査済証がもらえるわけではないので注意
報告書の内容が問題なければ、これで増築の確認申請が出せますよ。
増改築はしないが、建物の適法性を担保したいとき
でも、「増改築はしないけど、建物の適法性を担保したい」というパターンもあるかと。
法的な担保を得るためには、増改築によって検査済証をとるのが基本ですが、その他の方法も紹介しておきます。
増改築して検査済証を受領する方法も含めると、こちらの図のようなイメージです。
状況に応じて、どの書類を用意するのかを使いわけましょう。
まとめ:既存改修でキャリアの幅を広げよう
この記事の内容をまとめます。
✓検査済証がない建築物を増築する方法
- ステップ1:建築物の分類
- ステップ2:国交省のガイドラインに基づいて調査
- ステップ3:報告書をつかって確認申請をする
✓増改築はしないが、建物の適法性を担保したいときの方法
- 「適法性調査」「エンジニアリングレポート」「既存不適格調書」を使い分ける
既存建物の計画をするときに避けて通れないのが、「検査済証」がないときの対応の方法。
マニアックな案件なのですが、この分野に精通しておくと、建築家としてのキャリアの幅がかなり広がるはず。
ぼくは実践で協議しながら経験してきましたが、最近の既存改修の需要に合わせて、日経アーキテクチュアとビューローベリタスから、こちらの本も出ています。
内容は、どれも増改築を担当する人にとっては必須の情報ばかり。
ぼくはいつでも見れるように、自分用として1冊もっています。
増改築の担当者でまだ読んでない人は、是非読んでみてください。
というか、ディベロッパーのぼくが読んでいて、設計者が読んでないのはヤバいです、、、
少なくとも、事務所に1冊は置いておきましょう。
既存不適格調書をつくるときにも役立ちますよ。
それでは、今回はここで記事を終えます。
✓減築するときに、確認申請がいるのか知りたい人向け