「注文住宅の見積もりって何に注意したらいいんだろう」
「大金が動くから間違った進め方で失敗したくない」
このような心配をされている方は多いのではないでしょうか。
この記事を読めば「こういうポイントに注意して進めればいいのか!さらに無料のテンプレートもあるから楽々出来そうだ。」という状態になれると思います。
さらには工事費が下がることで35年ローンの内容も大きく変わり、これからの暮らしを1ランクあげることができるでしょう。
「注文住宅の見積もりをとるときの注意点が知りたい」という方に読んで頂き、明日から活用していただきたいと思います。
他の記事では公開されていない、独自の限定無料テンプレートも添付するので、ぜひ読んで頂ければと思います。
✔私の経歴
ここで本記事についての信ぴょう性を確認していただくために私の経歴を少しご紹介させてください。
私はこれまで建築業界に12年以上関わってきました。
この過程で50件近く、合計数十億円の工事契約を行ってきました。
取引をしてきた会社は合計20社以上です。何度も工夫しながら進め方を経験から学んできました。
しかも、これを読まれているあなたと同じ「建築主」としての経験です。
そのため注文住宅メーカーや工務店、設計会社の記事よりも、あなたが気になる内容が盛り込めていると思います。
この経験で培ってきた、注文住宅の見積もりの注意点をここでは徹底解説していきます。
見積もりの流れと注意点は?
全体の流れとセットで注意すべき内容を解説してきたいと思います。
工事の業者探し
3~5社から見積もりをとる
見積もりをとるときは必ず複数の会社からもらいましょう。
少し手間がかかるように思うかもしれませんが、競争をつくることができるので、各社が出来るだけ金額を下げようと頑張る状況になります。
これだけで数百万円の違いがあるので、確実に行いましょう。
会社の数には、決まったものはありませんが、多すぎると手間がかなり増えるので現実的には3~5社で十分かと思います。
市区町村からハウスメーカーや工務店を検索すると便利です。
工事の業者には概要と着工までのスケジュールを伝える
せっかく見積もりに参加をしてくれるので、工事の概要と着工までのスケジュールはしっかりと伝えましょう。
後述する図面の説明会にきて、「やっぱりこの内容ならやめておきます」と辞退される可能性もあるので、ここで概要でも伝えておくことは重要です。
ただし詳細の図面はまだ渡さないでおきましょう。なぜなら日程によっては先に情報を渡した会社が有利になってしまうからです。
「他にはどこに説明されたんですか?」と聞いてくることもあるかもしれませんが、「複数の会社さんからいただくことになっています」とだけ答えて公平な競争をつくりましょう。
こうすることで各社が「頑張らないと!」という状況をつくりだすことができます。
ちなみに営業担当の人の勘は本当に鋭いので、質問に惑わされないようにあくまでポーカーフェイスを貫きましょう。
私も何度も鋭い質問をされてきましたが、「さあ~どうでしょうかね~」と言ってはぐらかしてきました。
予算は伝えない
予算は基本的には伝えないことをおすすめします。予算を伝えると、さらに値段が下がるかもしれないチャンスをみすみす逃していることになるからです。
また、この予算に向けて、材料の質を少し落として見積もりを出すなどの手法を取られると、適正な金額が一体いくらなのかがわからなくなってしまいます。
そのためこのタイミングでは予算は伝えないほうが良いでしょう。
私も最初は予算を伝えてしまったことがあります。するとこの予算よりも20%増しくらいの見積もりを出されることが多い印象です。
この20%は値引きされる余裕分かつ予算よりも少しは多く払えるだろうという業者の思惑ですね。
こうなると足元を見られてしまい交渉がうまく進まないことが多いので注意しましょう。
図面の説明会
図面の説明会とは、設計図を業者に説明する会のことです。
ここで説明した条件に沿って、見積もりが出てくることになるので、非常に重要な会となります。
準備するもの
- 設計図
- スケジュール表(テンプレート)
- 調査の報告書(もしあれば)
- 要綱書(テンプレート)
- 契約書のひな形(外部リンク参照)
- 提出してもらう見積もりのひな形(テンプレート)
以上の資料を準備しましょう。
記事末尾にテンプレートをつけておいたので、一部なおして使用いただくとよいかと思います。
なお契約書については、私自身で作成したものをおすすめすることはできないので専門のサイトからご確認ください。
こちらの契約書であれば大きな問題はないかと思います。
設計図は必要として、他の書類をなぜここで準備する必要があるかについても解説しておきます。
まずスケジュール表についてですが、工事がいつ着手するかによって、工事業者の人員の手配が出来るかどうかが変わります。
どうしても忙しい時期だと工事業者の人員が確保できず、施工体制がとれないという可能性があるからです。
次に報告書についてですが、こちらは設計図の根拠となる資料なので、設計図だけではわからない内容もこちらの資料があれば見積もりができる可能性があるからです。
もしあれば渡しておきましょう。
続いて要綱書です。
聞きなれないことばかと思いますが、設計図以外の条件をまとめたものになっています。
特に重要なのは、「提出した見積もりには工事に必要な内容がすべて含まれているものとする」というところです。
これは後から「見積もりにこの内容は入っていませんでした」と言われても、「それは見積もりが悪いから入っていないだけではないですか」と言い返すための武器になるのでとても重要です。
私も増額になりますと言われたことが何度もありますが、この文章があるかないかで助かった経験は何度もあります。
そして契約書のひな形です。契約内容がよくわからないのに見積もりを出してくださいというのは工事業者にとって酷なので、これは案でいいので説明してあげましょう。
最後に、提出してもらう見積もりのひな形です。これは見積もりをもらったあとに、各社を比較するときに役に立ちます。
基本的には各社ばらばらの項目分けで出してくるので比較をすることが難しいです。
あらかじめ項目をこちらで指定しておくことで、比較がしやすくなるため、ここで渡しておきましょう。
設計図の説明・現地の案内
設計図の説明したら、現地の案内も行いましょう。
現地を見ることで、図面だけではわからない工事の障害や、工事の方法についても一度に相談することが出来るのでおすすめです。
日時の調整
複数の会社から見積もりをもらう場合は、出来る限り同じ日付で、各会社が顔を合わせないような時間を段取りしましょう。
1社1時間30分もあれば説明会は終わると思います。この日は説明会だけで終わるかもしれませんので、終日予定は空けておきましょう。
出席者とそれぞれの役割
最後に出席者と各々の役割についてです。建築主であるあなたと、設計者は必ず出席者しましょう。工事の業者が入れ替わりで出席をします。
それぞれの役割としては、まず建築主であるあなたが司会として、概要、スケジュール、要綱書や契約書を説明します。
その後、設計者が設計図の説明。その後、業者からの質問を受け付けるという段取りで進めていきましょう。
あくまであなたが司会をして進めていく会となるので、資料などをしっかり準備しておきましょう。
自分で司会をすることで、工事業者に対しても自分としっかり調整するようにという意思を示すことが出来ます。
よく工事業者から直接、設計者に連絡されて勝手に調整されてしまうことがあるのですが、あなたがいないところで物事が決まっていくのは明らかにおかしいです。
ここはしっかり自分が進めていくぞという意思を示しましょう。
質疑書の受け取り・回答
質疑書というのは、工業業者が図面を見て「ここはどうやって見積もりをすればいいですか?」という質問の書類のことです。
基本的には設計者が回答を作成することになります。
回答書にはわからなくても目を通す
設計者が回答を作成するものの、あなたもしっかり目を通しておきましょう。
「そんな想定じゃなかった!」と後から言っても遅いので、見積もりのベースとなるものはわからないなりにもグーグルで調べたり、設計者に聞いたりして確認しておきましょう。
回答書は各社の情報をとりまとめて全社に回答する
質疑書は各社から出てきますが、回答書は各社の質疑をとりまとめて全社に返してあげましょう。
なぜなら各社の条件をそろえておかないとどこの会社が本当に安いのかがわからなくなってしまうからです。
また細かいですが、回答書はメールでやりとりすることが多いので、Bccにして、各社にどこの会社が参加しているかがわからないようにしましょう。
見積もり等の受け取り
提出してもらうもの
- 見積書
- 工程表
- 施工計画書
- VE・CD案
説明会で要綱書に記載した上記の資料を提出してもらいましょう。
見積書以外の書類についても解説しておきます。
工程表とは、どの工事にどれくらいの時間がかかって、全体で何カ月の工事期間となるかを示した表です。
工事期間を短くすることが見積書の値引きにも繋がってくるので、このタイミングで一緒にもらっておきましょう。
施工計画書とは、どのような工事を、どのような計画で行うかという書類です。
具体的には、工事用の囲いや仮設の足場がどのあたりに設置するかなどが記載されているイメージです。
これを、工程表とセットで確認していくことで、工事を短くできないかという検討をすることが出来ます。
VE・CD案とは、「Value Engineering・Cost Down」の略です。つまり「こうすればもっと安くなりますよ」という工事業者からの提案書類です。
これを見ると、あとどれくらい見積もりを下げられそうかという目安とすることが出来ます。
これを採用することで5%近く下がった経験もあります。
受け取り方
必ず対面で行いましょう。そして各書類について説明をしてもらいましょう。
こうすることで、書類だけでは見えてこない工事業者のやる気や考え方を知る機会になります。またこの時点で条件と違うところがあれば指摘して修正してもらいましょう。
必要な期間
戸建ての注文住宅であれば、1か月程度の期間があれば十分かと思います。
ただ、よく「あと数日だけ待ってもらえませんか」という連絡があります。確実な見積もりを出してもらうためにも待ってあげてよいと思います。
逆にこの期間が短すぎると、業者もしっかりと検討することが出来ず、高めの金額となりがちなので要注意です。
見積もり比較
どこが一番安いか、何が安いのか
まずはどこが一番安いのかを確認しましょう。さらに総額だけではなく、内訳も確認して、何が原因で安い(または高い)のかを確認しましょう。
こうすることで、「低いグレードのものを勝手に採用していないか」ということを確認することができます。
項目の抜けや漏れがないか
次に設計者に協力してもらい、項目の抜けや漏れがないかを確認してもらいましょう。
これがあると、各社の条件がそろわないのでどこが本当は安いのかがわかりません。
私の経験上、大抵は抜けや漏れがあるので、見積もり提出の2回戦も想定したスケジュールとしておくことをおすすめします。
2回戦を行うときは、改めて各社に説明をすることになりますが、このときに改めて営業努力も要請しておくと、さらなる値引きが期待できます。
業者の決め方
- 金額
- 見積もりの詳しさ
- VE・CD案の検討具合
- 営業態度
基本的には金額をベースとして決めましょう。しかし補足として、他3点も評価の対象としましょう。
見積もりの詳しさについてですが、これは見積書の厚さと言い換えてもいいです。「〇〇工事 一式 〇〇円」という記載ばかりだと、「一式」の中に何が入っているかがわからず、あとからもめる原因になりがちです。
誠実に向き合ってくれる業者であれば、出来るだけ「一式」という記載をなくした見積もりを出してくれるはずです。
金額が大きく違わなければ、営業態度なども含めて、一緒に住宅づくりのパートナーを決めてもいいと思います。
予算との乖離が大きすぎる場合は設計のやり直しを決断
この決断は勇気がいりますが、冷静に考えて複数の会社からの見積もり全てが予算と大きく離れていると、抜本的に何かを見直す必要があります。
業者の選定
断り方
公平に競争を行った結果なので、しっかりと直接会って結果を伝えましょう。
なお何社が参加していたかくらいは伝えてもいいですが、金額までは伝えるのは避けておきましょう。
あくまで見積もりは選定した業者の内部情報です。取り扱いには注意しましょう。ここで「あと少しなら値引きできます」と言われてもやり直しはしてはいけません。
値引き合戦になってしまい、品質が保たれなくなってしまうからです。
私も何度か言われたことがありますが、こういうときは「参考までに、どういう内容で値引きが出来るのですか」と聞いて、採用できそうであれば選定した業者とのVE・CDに活かすということをしています。
VE・CD案の検討、本見積もり
やっとここまで来ましたが、ここも重要なポイントです。
工事業者から提案のあったVE・CD案を採用するか検討し、設計図も詳しく描きあげてもらい、本見積もりにうつっていきます。
本見積もりとは、設計図の詳細や工事の計画も固まってきた段階でとる見積もりのことです。
なお、前段階に行った見積もりのことを概算見積もりということもあります。
チェックと値引き交渉
本見積もりはさらに内容が詳しくなって、要望も追加されているので、一般的に概算見積もりのときよりも価格があがる傾向があります。
ここではしっかりと値引き交渉を行っていくことで予算へと近づけていくことが重要です。
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プロへの相談も検討
プロへの相談も検討しましょう。見積もりが細かくなると、中々理解するのが難しくなってきます。
注文住宅というのはあくまで個別の商品なので一般的にこうすれば値引きが出来るというのが言いにくいものです。
やはりプロの目を通すと、自分にはなかった視点や、プロにも確認したという自信が生まれて必ず交渉にも活きることと思います。
正直、これを知るか知らないかで、人生変わります。
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契約
ここまでくれば最終段階です。契約書の内容を最終確認しましょう。
契約書の添付書類
ここでの注意点は、あくまでこの契約は「この設計図の内容をこの金額で請け負います」という形にしておくことです。
もっと具体的にいうと、見積書は契約に関する書類ではないという位置づけにすることです。
なぜなら、見積書を契約に関する書類とすると、あとから「これは設計図には入っていても見積もりには入っていません」と言われる可能性があるからです。
そのため本見積もりをとった図面を正式な書類として扱い、見積もり自体は、契約に関する金額を入れるための参考資料という位置づけにすることが有効なのです。
このあたりは少し難しいかもしれませんので、ご不明点はお気軽にお問い合わせください。(TwitterでもOKです)
まとめ
注文住宅の見積もりに関する注意点をそれぞれのタイミングに合わせて解説してきました。
この注意点を知らなかったときの私は、何度も失敗をして学んできました。
これを繰り返し読んで頂ければ、理想のマイホームはもうすぐです!
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要綱書(案)
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