こんにちは。せのしゅん(@senosyun_archi)です。
投資歴10年以上の個人投資家です。
先日、日銀が実質的な利上げを行ったことが話題になっています。
このニュースについて、
出来るだけわかりやすく解説していきたいと思います。
日銀の利上げについてわかりやすく解説します|ヤバイ影響ありです
下記の4ステップで解説していきます。
- そもそも日銀の利上げとは?
- なぜ日銀は利上げをしたのか
- なぜ日銀はこのタイミングで利上げをしたのか
- 日銀が利上げすると何が起きるのか
そもそも日銀の利上げとは?
まず、そもそも日銀の利上げとは何なのかと言うと、
「国の借金である国債の金利を引き上げる」
ということです。
具体的には、今回0.25%⇒0.5%に引き上げられました。
(正確には許容上限幅の拡大ですが、実質的には利上げです)
これは何を意味するかと言うと、
「金融緩和からの方針転換」です。
いわゆるアベノミク以降、
日銀は金利を低下させることで、
お金を借りやすい環境をつくり、経済を後押ししてきました。
(金利が下がるということは、借りる側は利息をあまり払わなくて良いということです。)
しかし、ここに来て日銀はこの金融緩和から方針を転換して、
金融引き締めに舵を切ってきたわけです。
なぜ日銀は利上げをしたのか
では、なぜ日銀は急に方針転換をしたのでしょうか。
ここからは私の推察ですが、
金融緩和を続けられなくなってきた、
というのが理由だと考えます。
金融緩和にはお金を借りやすくする一方で、
リスクもあります。
金融緩和によるインフレリスク
金融緩和とは、世の中にお金がどんどん出ていくことです。
日本円をどんどん刷ると、
日本円自体の価値は希薄化して、
徐々に目減りしていきます。
日本円の価値が目減りすると何が起きるかというと、
それは「インフレ」です。
日本のインフレ率は中々上がりませんでしたが、
ここに来て、40年ぶりのインフレ率になってきました。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA22B8C0S2A221C2000000/
これ以上の金融緩和を続けると、
さらにインフレが加速してしまいます。
そのため、金融緩和から方針転換せざるを得なかった、
というのが1つ目の理由です。
金融緩和による日銀の債務超過リスク
2つ目の理由が、日銀の債務超過リスクです。
金融緩和を続けるために政府が発行してきた国債は、
約50%を日銀が保有しています。
https://www.mof.go.jp/jgbs/reference/appendix/breakdown.pdf
さらに日銀のバランスシートを見ても、
資産の約80%が国債です。
↓参考記事
ところで国債は金融商品なので、
もちろん価格の上下があります。
国債の価格は何によって上下するかというと、
それが「国債の金利」。
- 国債金利が下がると価格は上がる
- 国債金利が上がると価格は下がる
という仕組みです。
※ここがピンと来ないかもですが、イメージは下記です。
「金利が上がる=それだけリスクが高い=価格が下がる」
実は2022年に入ってから、
日本10年国債金利は、日銀が上限としていた0.25%近辺まで急上昇。
日銀は無制限に国債を買い入れることで、
金利が0.25%以上に行かないようにコントロールしていました。(指値オペ)
しかし、金利が上がる=価格が下がるということなので、
日銀の保有国債は価値が減少。
結果的に、2022年度上期末の決算では、
含み損が発生してしまっています。
日銀は、これ以上国債を買い続けると、
さらに含み損リスクを増やしてしまう、
ということで、金融緩和の出口を模索していたのでしょう。
ただし、0.25%⇒0.5%に利上げをすると、
これもまた国債の含み損を拡大することになります。
しかし0.5%までであれば、
日銀はギリギリ債務超過にはならないラインだと思われます。
このような背景から、
金融緩和を続けるのを止めて、金利を上げることにした、
と考えられます。
なぜ日銀はこのタイミングで利上げをしたのか
では、なぜ日銀はこのタイミングで利上げをしたのでしょうか。
それは、米国の利上げが概ね完了し、
利下げの可能性を市場が織り込みつつあるから、
だと考えます。
米国はインフレを抑え込むため、
2022年に積極的に利上げをしてきました。
そして、ようやくインフレは沈静化の見込みが立ってきており、
これによって次は利下げ期待が高まっています。
日本経済は米国経済に大きく左右されるため、
米国債の利下げ期待が高まれば、日本国債も利下げ期待が高まります。
つまり、一時的に0.5%程度まで日本国債金利は上昇するものの、
この急場を何とかしのげば、米国債の利下げ期待に伴い、
日本国債金利も下がることが想定される。
そうすれば国債の追加買い入れも、債務超過リスクも減らすことができる。
というのが日銀のシナリオだと想定します。
(個人的には、そんなに上手くいかないのでは、と思いますが)
そのため、米国債の利下げ期待が高まり過ぎる前の(市中金利に織り込みされる前の)今のタイミングで、
日銀は方針転換を図ったのだと考えます。
日銀が利上げすると何が起きるのか
で、結局日銀が0.5%に利上げすると国民にはどんな影響があるの?
ということを解説していきます。
ザっと以下のような事態が想定されます。
- 住宅ローン金利があがり、変動金利の人は住宅ローンの支払いが増える(結果的に住宅を手放さざるを得ない人も増える)
- 銀行からお金を借りるときの金利が高くなり、景気が悪化する
- 日本の株、不動産が下落する
- 自己破産者が増える
- インフレが鎮静化する
インフレが鎮静化するのは良いとしても、
その他はあまり良い影響はなさそう・・・
特に住宅ローンを変動金利で借りている人は、
約8割もいるようなので、影響は甚大です。
住宅ローンは複利で金利がかかって来るので、
長期で住宅ローンが残っている人は、
場合によっては、もとの2倍近くの金利支払いが必要となる可能性もあります。
さらに不動産価格も下落するとなると、泣きっ面に蜂。
状況によっては、
自宅を手放しても借金だけが残る可能性もあるでしょう。
とにかく今は、日本の金融商品全般に手を出すのは控えて、
価格が下落するのを待った方が得策だと思います。
間違ってもこのタイミングで、
35年ローン変動金利で住宅を買ってしまわないように・・・
この記事は以上です。
では。おしまい。